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2022.04.11

イベントレポート vol.1 CapitaLand Smart Urban Co-Innovation Lab視察

【イベントレポート vol.1 CapitaLand Smart Urban Co-Innovation Lab視察】

JSIPでは、2022年3月8日、シンガポールを代表する不動産デベロッパーCapitaLandの保有するイノベーション施設、Smart Urban Co-Innovation Labの視察イベントを開催致しました。JSIPコミュニティからは、三菱地所、阪急阪神不動産、KDDI等の事業会社に加え、JETRO、日本政策投資銀行の計5社が参加し、同社の先進的なイノベーション創造の取組みや仕掛けを見学しました!

当日の様子を簡単にまとめさせて頂きましたので、「へえ~、こんなこともやっているのね」という感じで、ゆるくご笑覧頂けますと幸いです。

なお、当日はCovid-19下で参加者が限定されていた為、スマートシティ領域に特にご関心をお持ちのコンソーシアム企業様中心にお声がけさせて頂きましたが、ご参加頂けなかった企業様・関係者の中で、今後こうしたイベントにご関心のある方は、JSIP運営までお気軽にお問合せ下さい。

 

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Smart Urban Co-Innovation Lab視察

日時:2022年3月8日

場所:Smart Urban Co-Innovation Lab(61 Science Park Rd, Singapore 117525)

参加企業:三菱地所、阪急阪神不動産、KDDI、DBJ、JETRO

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  • CapitaLandとは

シンガポール政府系投資ファンドテマセク・ホールディングス傘下の大手不動産デベロッパーです。オーチャードにあるIONやチャンギ空港隣接のJewel、Capital Tower・CapitaGreen・Asia Square・Raffles City等のオフィスビルはCapitaLandの開発物件です。

2019年に、同じくテマセク傘下だったAscendas Singbridgeという別の不動産デベロッパーと事業統合し、アジア最大の不動産デベロッパーとなりました。現在では世界40か国、260都市以上に展開し、シンガポールと中国に注力しつつ、インド、ベトナム、豪州、欧州、米国等にも展開を続けています。

 

CapitaLandは元々商業施設やオフィスビル、ホテル等にポートフォリオを集中させていた一方で、Ascendas Singbridgeは工業団地、物流施設、データセンターなどのビジネス向けの箱モノを多く保有していたということで、補完関係を築ける統合だったと言われているそうです。

Asset Under Managementは日本円にして10兆円を超えてきます

 

  • Smart Urban Co-Innovation Labとは

2020年に開設された、スマートシティ関連のソリューションの共同開発の為の実験場がSmart Urban Co-Innovation Labです。CapitaLandが主導し、シンガポール政府(Infocomm Media Development Authority (IMDA) and Enterprise Singapore (ESG))がサポートを提供して建てられました。

Singapore Science Park One内のThe Galenという場所にあります

 

ローカルのテック企業、システムインテグレーター、グローバル企業など、さまざまなエコシステム・プレイヤーの持てるリソースを融合させるリソース・インテグレーターとして機能し、ソリューションのアイデア出しから実証、商業化まで、スマートシティ向けソリューションを共同創造する場所として位置づけられています。国内外の企業がLabにテナントとして入居し、そこで入居者間でアイデアを交換し、新しいビジネスモデルやイノベーションの機会を特定してソリューションに昇華させるまでのサポートを包括的に提供する狙いのようです。

 

CapitaLandは不動産デベロッパーとして広範なネットワークを有している為、それを活用して、単独で中々探してこられないような事業パートナーを連れてくることが提供価値の一つになっているとのことでした。

Labのサポート分野はSmart Cityということでかなり広範な印象を受けましたが、「データを統合し利活用することによってこれまでに生み出せなかった新たな価値を生み出す」ことにこだわっている印象を受けました。

Labの重要な機能は3つです。

  1. テストベッド機能:まだ社会実装前の技術を模擬的な環境で実験する

例えば、チャンギ総合病院(Changi General Hospital)、Ascendas Innovation、フィンランド大手エンジニアリング会社KONE社の3社は、Robotが自律的に建物内を移動し、マルチタスクをこなし、人と同居する世界を目指し、Lab環境を活用した共同プログラム“Robot Multi-functionality, Mobility, and Accessibility Joint Development Projects and Pilot Trials”を行いました。

外部のロボティクス企業からの参加を募った結果、90もの企業が応募。2022年4月に実証を行うことになっているようです(詳細:https://smartlab.expert/)。

 

  1. 新産業の輸入・育成機能:シンガポールにまだ無い産業を受入れ、育てる

シンガポールはCovid-19を受けて、国家戦略として食料の輸出への依存度を減らすべく、Food securityに投資を振り向けています。そのような文脈の中で、植物工場が大きな注目を受けています。例えば本Labでは、Singapore Food Agencyとドイツ発のスタートアップと協業し、市場初の商業規模の植物工場を稼働させているそうです。

  1. 技術の商業化支援機能:技術の新たなユースケースを試し、商業化する

例えば、フランスのコスメ大手のロレアルは中国初の3D画像生成技術を持つ企業の技術を用いて、肌の状態診断+パーソナライズドスキンケアを提供する新しいリテールサービスをLabと組んで共同開発しました。本コラボについては、全コンセプトワークがLab内で行われたそうです。

「我々は一つの技術を色々な角度から眺めて、どうやって商業化できそうかを異なる視点で一緒に検討し、ビジネスモデルを描くところまで手を入れるんです」という説明が印象的でした。

 

 

案内して下さったAylwin Tan(Chief Customer Solutions Officer at CapitaLand)(左手)とBeatrice Leow(Senior Vice President – Customer Services & Solutions at CapitaLand Group)(右手)

なお、Corporate Venture Capitalのような投資機能は持っていないとのこと。また、スタートアップを特別に支援しているということではなく、どちらかと言うと成熟した企業でテナントになってくれるようなところのイノベーションを支援するケースの方が多いとのことでした。

 

因みに、日系企業ではSharp等がプラズマクラスター技術関連でコラボ実績がある他、色々と事例もあるそうで、常にウェルカムだそうなので、ご興味のある企業様はお繋ぎしますので、是非お問い合わせください!

  • 参加者の声

次世代のsmart cityを検討していく上で利用者の属性やニーズを元に機能検討していく上で、政府との距離感をうまく活用したエコシステムとco イノベーション関係を作られていて、着々と可視化出来るソリューションを形として出しているところが大変素晴らしいと思いました。

 

日本は個別の技術要素は高いが、コラボレーションがまだまだ出来ていないとの言葉が確かにその通りだと感じると共に、シンガポールの立地上の優位性(多種多様なコラボレーションが可能)を再認識しました。

メタバース等についても取り組んでいますので、上手くコラボレーションできればと考えております。

 

「日本は一つ一つの技術は良いもの持ってるのに活用し切れてないよね~」とのお約束的なコメントが先方から出ておりましたが、この辺りについてはまさにJSIPが結節点となって行くと良いなと思って話を聞いておりました。

 

シャープさんのプラズマクラスターも登場したり、空間マネジメントに関する様々なデータを可視化されていましたが、当地市中物件の現状を見る限り、それらデータの活用というか普及という意味ではシンガポールもまだこれからなのかもしれません。

 

  • セッションの様子

 

今回は初めての視察系企画ということで、Covid-19の制約の中、至らぬ点も多くあったかと思いますが、今後もJSIPではこうした企画・実施していきたいと考えておりますので、ご要望やお持ち込み案件等がございましたら、お気軽に事務局までご連絡を頂けますと幸いです!

 

今後とも、JSIPをどうぞよろしくお願い致します。

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